日々プロパンガスを配送している配送員です。 一般のご家庭から、業務用のコインランドリーまで、あちこちにガスを運んでいます。
最近、ネットやSNSで「ガス衣類乾燥機『乾太くん』が最強!」という声をよく見かけます。 確かにガス屋としては嬉しい話ですが、現場で働いている自分からすると、「ちょっと待った。良いことばかりじゃないよ?」と思うことも正直あります。
今日は営業トークは一切なし。「実際にボンベの減り具合を見ている配送員」の視点で、乾太くん、ドラム式洗濯機(電気)、そしてコインランドリーを正直に比較してみます。
「早さ」と「仕上がり」はガスの圧勝(キングはコインランドリー)
まずは一番の違いである「パワー」の話から。 ガス屋として、一般家庭(乾太くん)とコインランドリー(業務用)、両方の機械を見ているので断言できますが、「乾かす力」の序列はこうなります。
| 機種 | 早さ | 仕上がり | おすすめ度 |
| コインランドリー | 最強 (30分) | 世界一 (フワフワ) | ★★★★★ (ただし移動が大変) |
| 乾太くん | 速い (50分) | かなり良い (9割再現) | ★★★★☆ (工事の壁あり) |
| ドラム式 (電気) | 遅い (3~4時間) | 普通 (優しい) | ★★★☆☆ (手間なしで楽) |
それぞれ詳しく解説します。
- ① コインランドリー(業務用ガス):【最強】
- 時間: 30分〜40分で乾きます。圧倒的です。
- 仕上がり: 巨大なドラムで熱風を通すので、「タオルのフワフワ感」は間違いなく世界一です。この仕上がりを求めて、みんな重い荷物を運んでいるわけですね。
- ② 乾太くん(家庭用ガス):【自宅で使える準・最強】
- 時間: 約50分〜1時間。
- 仕上がり: 業務用には一歩譲りますが、それでも「コインランドリーのあの感じ」の9割くらいを自宅で再現できます。生乾き臭も熱風で殺菌するのでほぼゼロです。
- ③ ドラム式(電気ヒートポンプ):【時間はかかるが優しい】
- 時間: 約3時間〜4時間。
- 仕上がり: 低温で優しく乾かすので服が傷みにくいですが、タオルなどの「立ち上がり(ボリューム感)」はガスに軍配が上がります。
【ここがポイント】 「1日3回洗濯機を回す」ような子育て世帯には、1時間で終わる乾太くんは神様のような存在になります。乾燥させている間に、次の洗濯ができる「連続プレー」が可能だからです。
でも、「ボタン一つで洗濯から乾燥まで放置して寝たい」という人には、入れ替えの手間がないドラム式(電気)の方が圧倒的に楽です。
「ガス代が怖い」は誤解?配送員のリアルな実感
「乾太くんを入れるとガス代が爆上がりしそう…」 よくそう相談されますが、毎日ボンベを交換して回っている自分からすると、答えは「No」です。
正直なところ、乾太くんを入れたからといって、ガスの交換頻度がものすごく増えた家はあまりありません。
なぜか? 理由は単純です。
- 真犯人は「暖房」と「お風呂」 冬場、我々配送員が警戒するのは「ガスファンヒーター」や「床暖房」を使っているお宅です。こいつらは本当にガスを食います。 あと、毎日のお風呂(給湯)も大量のガスを使います。
それに比べると、乾太くん1回あたりのガス使用量は、お風呂や暖房に比べれば少ないんです。
コインランドリーに毎回数百円払うことを考えれば、実はかなりコストパフォーマンスが良い家電だと言えます。
でも「乾太くん」には高い壁がある(初期費用・工事・縮み)
ここまで読むと「じゃあ乾太くんでいいじゃん」となりそうですが、ここからが本題。現実的なデメリット(壁)の話です。 正直、ここをクリアできない人が大半だと思います。
その1:初期費用と工事の壁
これが最大のネックです。 ドラム式洗濯機なら「買って置くだけ」ですが、乾太くんの場合は計算が違います。
- 乾太くん本体 + 専用の棚
- 設置工事費(ガス栓増設・排湿管工事)
- これとは別に「洗濯機」が必要
壁に穴を開けて湿気を外に出す「煙突(排湿管)」の工事が必要なため、賃貸やマンションでは設置のハードルが非常に高いのが現実です。 「置くだけ」で終わるドラム式洗濯機に人気が集まるのは、この「工事の壁」がないからなんですよね。
【オール電化住宅の方へ】 「オール電化だけど乾太くんだけ入れたい」という相談も増えています。 結論から言うと、家の外にボンベを置くスペース等の条件さえ合えば可能です。ただし、その場合はガス会社との新規契約が必要になるので、事前に見積もりを取ってみてください。
その2:強すぎて「服が縮む」問題
ガスの強力な熱風は「早く乾く」という最大のメリットと引き換えに、「熱に弱い素材を痛めつける」というリスクがあります。 これは乾太くんに限らず、同じガスを使っているコインランドリーも全く同じです。
- ウール・ニット類: 子供服サイズまで縮んでフェルト化します。
- プリントTシャツ: 熱でプリントが剥がれることがあります。
- ゴムが入った服: 熱でゴムが劣化しやすいです。
【必ず「タグ」を確認してください】 服の内側についている「洗濯表示タグ」を見て、乾燥機マークに「×」がついていたらNGです。 「タグの確認なんて面倒くさい!何も考えずに全部放り込みたい!」というズボラ派の方は、低温で優しく乾かすドラム式(電気)を選んだほうが幸せになれるかもしれません。
プロの裏話:「寿命」の違い 自分たちガス屋の肌感覚ですが、「長く使う」という視点で見ると評価が変わります。 乾太くんは構造がシンプル(熱風を送って回すだけ)なので、比較的壊れにくい印象があります。 一方、ドラム式は「水と電気と精密機械」の塊なので、構造が複雑な分、修理やメンテナンスが必要になる頻度はどうしても高くなりがちです。
最強なのは「コインランドリー」説(ただし条件あり)
最後に、自分もガス交換に行っているコインランドリーとの比較です。 「家に機械を買う」ことのリスクを考えると、実はコインランドリーもかなり強い選択肢です。
【コインランドリーの良いところ】
- 布団やカーペットが洗える: 家庭用の乾太くん(5kg〜9kg)では洗えない大物が一撃で乾きます。
- 故障のリスクがない: 機械である以上いつかは壊れますが、その修理代や買い替えのリスクを負わなくて済みます。
【コインランドリーの悪いところ(現場のリアル)】
しかし、最強に見えるコインランドリーにも弱点があります。それは「移動」と「渋滞」です。
- 家から遠いと地獄 雨の中、重い洗濯物を車に積んで移動するのはシンプルに大変です。家のすぐ近くにあれば最高ですが、遠いと続きません。
- 「雨の日の渋滞」問題 ここが盲点です。自分がガス交換時によく見るんですが、雨が続くと20台以上ある広い駐車場でも満車になっていることがよくあります。 ひどい時は、空き待ちの車で渋滞が起きていることも。 「洗濯物を乾かしたいだけなのに、雨の中、車の中で順番待ちをする」…このストレスと時間はバカになりません。
「初期費用と工事費をかけて家に導入する」か、「メンテナンス不要だけど、雨の日の渋滞と移動の手間を受け入れる」か。 ここは自分の家の立地や、性格と相談する必要があります。
まとめ:あなたにおすすめなのはどっち?
長くなりましたが、結論です。自分のライフスタイルに合わせて選んでみてください。
■ 乾太くん(ガス)がおすすめな人
- 持ち家(戸建て)で、壁に穴を開けられる。
- 洗濯物がとにかく多い!1日何回も回す。
- 「コインランドリーのフワフワ感」を自宅で毎日味わいたい。
- ※ガス代の心配は、そこまでしなくて大丈夫です。
■ ドラム式(電気)がおすすめな人
- 賃貸マンション住まい。
- 洗濯物を移し替えるのすら面倒。ボタン一つで完結させたい。
- 初期費用や工事の手間を減らしたい。
■ コインランドリー利用がおすすめな人
- 布団などの大物をメインに洗いたい。
- 機械の故障やメンテナンスの心配をしたくない。
- 初期費用をかけたくない(ただし、雨の日の渋滞は覚悟が必要)。
どれも一長一短です。 「ネットで評判だから」というだけで飛びつかず、自分の家の状況(特に工事ができるか!)をよく考えて選んでみてくださいね。


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